第165話 一貫

 

月島のどシャットで第2セットを奪った烏野

しかし白布も気合いを入れ直し、第3セットは白鳥沢に5点リードをされている

スコアは烏野16ー21白鳥沢

球が乱れてからの決定率は白鳥沢の方が上らしく、点差はじわじわと開いていった

 

白布を見る影山「(…2セット目を引きずるどころか どんどん目が据わってくように見えるな…)」

 

白布の過去…

白布の出身は豊黒中学(和久南の川渡とチームメイトだった)

そこで2年生で正セッターをやっていた

試合を見ている他校の選手「豊黒のセッターウマいよな」「今年の豊中けっこういいとこまで行くかもね」

「でもまあ…決勝はあの2校だろうけどなー」

視線の先には牛島と及川

そして白布もこの2校の決勝を観戦する

白布「(俺達の1コ上の代まで 最終的にこの2校の争いになる事が多かった

北川第一の方は体格で劣るけれどスピードやコンビネーションを駆使した巧みな戦い方で華やかに見えた

そのせいか周りには北川第一を応援する声が多かった気がする

ウシワカにはなれないけど、北川第一のようにならなれるかもと思っていたのもあるかもしれない

セッターの俺からすればオイカワも十分化け物だったけど

俺達も平均身長は高くない 目指すべきは北川第一スタイル)」

凄まじいスパイクを打つ牛島

それを見た白布「(それでも思ってしまった 優れたチームワークも数人がかりの攻撃も全部ねじ伏せる 高さとパワー 1番かっこいい

あんな戦い方をしてみたい 下手したらオープントスだけで勝ってしまうような戦い!!

でもそれはスターが居てできること そして同時に疑問が湧いた

あんな凄い素材を前にして セッターの余分な意思主張は必要無いのではないか?)」

白布「…俺、白鳥沢に行く」

チームメイト「フーン… …は?」

 

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白布「強い連中が集まるところへ、強いバレーをやりに行く」

 

話は今に戻る

その時のチームメイトが観客席で話をしている「それで本当に行きやがったよ」「もともと成績は良かったけど更にすげえ勉強してさ…でもまさか」

「マジでウシワカにトス上げてるとはな ただトスは別人みたいだよ 前はガンガン速攻使うような強気タイプだったんだけどな」

 

日向のアタックが決まり烏野18ー22白鳥沢

白鳥沢コーチ「いや〜影山良いじゃないですか 丸くなってるみたいだし 惜しい事したのでは?」

鷲匠監督「ん〜でも自己主張の強いセッターは要らんわ〜 …サーブもいいしアタッカーでもイケそうだな…

でも奴にはセッターへの強〜烈な拘りを感じた、奴なりのな ウチに来ても幸せじゃねえべ」

 

さきほど第2セットが終わった後、鷲匠は皆に声をかけていた

「奴らのバレーは優れて見えたか? シンプルさこそがおめぇらの強さ

付け焼き刃じゃねぇ強さ だっつって何回言わせんだこのでごすけ!!」

五色「でご…!?」

大平「バカ者って意味ね」

 

五色がアタックを決める、差はなかなか縮まらない

田中姉「何だよ!今エンジンかかって来たとか言わないでよ!?」

月島兄「ていうか戻ったって感じだな 烏野に引っ張られて速くなってたリズムが通常通りにさ」

 

烏養「俺もセッターだったけど、俺なら自分とこのエースがどシャット食らったら

ますます相手のブロックなんとかしねえとって思っちまうよ その焦りはなにもセッターだけじゃなく

レシーブの返球が低く速くなったりそれで攻撃の助走も短くなったり そうして気付かずリズムは崩れて行く

でも奴は戻した いつも通りとかベストとか口で言うのは簡単でも実態の無いものだ

それがどんなものだったか見失ってもおかしくないのに かと言ってこっちが迷い出したら終わりだ」

東峰がアタックを決めて烏野19ー23白鳥沢

烏養「ブロック間違ってねえ!!迷うなよ!!」

日向に替わってピンチサーバーに山口が入る

西谷・日向・縁下「1本ナイッサァー!」

フローターサーブは変化しながら飛んでいく

五色「アゥトォッ」

 

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のけぞりながらジャッジする五色

山口「スミマセンッ…!!」

澤村「ハイハイ大丈夫 テンション下げなーい」

白鳥沢のセットポイント

白布「(俺の仕事は牛島さんに頼る事だけではないが自分の力やプライドを示す事でもない

全国トップクラスの大エースを最高のかたちで立てること)」

白鳥沢のサーブは五色

長くなったサーブを田中がジャッジして流し、アウト

烏野20ー24白鳥沢

嶋田「よし!20点台乗った!!背中が見えたぞ!!」

 

日向と影山の速攻や及川のことを思い浮かべる白布「(あんな攻撃には目がくらむ 華やかなセッターにも憧れる)」

澤村のサーブをレシーブする大平

 

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牛島にトスを上げる白布「(でも俺にとっての1番カッコイイバレーはこれだ)」

 

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西谷のレシーブを弾き飛ばす強烈なアタックで第3セットを決めた牛島

白布「(誰よりも目立たないセッターに俺は成る)」

 

次回、ハイキュー!! 166 へ!!