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進撃の巨人 73話 ネタバレ
【別冊少年マガジン 2015年9月号】


『はじまりの街』

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ナレーション
「ウォール・マリア領は
 人類に残された領土の
 3分の1にあたる

 五年前にこの領土を失った人類は
 多大な財産と人命を失った

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 そしてそれらの損失は始まりでしかない
 残された二枚の壁の中で誰もがそう悟った

 私たちはもう生きてはいけないのだと

 人類が明日も生きられるか
 それを決めるのは人類ではない

 全ては巨人に委ねられる
 なぜなら人類は巨人に勝てないからだ」

あの時、誓ったエレンの言葉

エレン
【駆逐してやる!!
 この世から…一匹…残らず!!」

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ナレーション
「だがある少年の心に抱いた
 小さな刃が巨人を突き殺し
 巨大な頭を大地に踏みつけた」

あの時、巨人を倒し
その頭の上に立ったミカサ

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ナレーション
「それを見た人類は
 なにを思っただろう

 ある者は誇りを
 ある者は希望を
 ある者は怒りを叫びだした」

それぞれのあの時の
ミカサ・アルミン・エレンの姿

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ナレーション
「ではウォール・マリアを奪還したなら
 人類は何を叫ぶだろう

 人類はまだ生きていいのだと
 信じる事ができるだろうか

 自らの運命は自らで決定できると
 信じさせる事ができるだろうか

 ウォール・マリアさえ奪還すれば」

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【現在】

エレン達が夜の闇に紛れて
山の中を進んでいる

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その時、モブが枝を踏む

モブ
「わわ…」

リヴァイ
「おい!」

モブ
「す…すいません」

リヴァイ
「もっと足元を照らせ!」

リヴァイがヒゲに話しかける

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リヴァイ
「麓はまだか?
 夜が明けちまうぞ

ヒゲ
「この山さえ越えれば
 シガンシナ区はすぐそこだ」

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ミカサがエレンの馬も
一緒に引いている様子

エレン
「ミカサわりぃな…」

ミカサ
「エレンはここで体力を
 使うべきじゃない」

コニー
「そうだぞ休んどけよ、エレン」

ジャン
「バカ、名前で呼ぶな」

コニー
「そうだった!…すまん」

ジャン
「周りは常に敵だらけだと
 思えって…!!」

その時、ジャンが巨人を発見する

ジャン
「左に巨人!!全体停止!!
 周囲を照らせ!!」

巨人の方を照らしてみると、
巨人は岩肌にもたれかかり眠っていた

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ハンジ
「…大丈夫、ぐっすり寝てる

 この子も夜に動くっていう
 新種ではないようだね

 ハハッ、残念だな
 ほっといてやろう

 ふー…」

その場を離れていく一同

エレン
「…こんな距離まで近づかないと
 気づかないなんて」

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ハンジ
「あぁ全くだ

 普段なら真夜中に森を
 お散歩するのは
 おすすめしないけど

 私達はきっと
 この闇夜に守られてる

 コニーとヒストリアが
 夜に動く巨人に遭遇したのは
 月明かりのよるだった

 月の光は太陽光の反射だからね

 新種の巨人はその微量な太陽光を
 糧にして動いてるって
 仮説が正しければだけど

 新月を選んで正解だった

 あの子も【月光の巨人】
 だったかもしれないからね」

 いつか捕獲出来たらな」

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その時、心臓の鼓動が
大きく鳴りだすエレン

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エレン
(震えが…!?…何だ!?
 何がそんなに怖いんだ!?

 …失敗したらどうなる?
 …どれだけの人が失望する?

 また次の機会なんてものが
 あると思うか?

 やっぱり俺じゃだめなのか…?

 こんな奴が…どうやって
 人類を救うっていうんだよ?

 こんな奴がどうやって?)

エレンの灯りを持つ手が
ガタガタと震え出す

それに気付くミカサ

ミカサ
「…エレン」

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その時、アルミンが後ろから
エレンに声をかけてくる

アルミン
「どうしたの震えて?怖いの?」

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エレン
「!?」

一瞬、互いの目を見合う二人

エレン
「は…はぁ!?
 怖くねぇし!!」

アルミン
「ええ?ウソだぁ
 手が震えてるもん」

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エレン
「この震えは手がなんか
 すっげぇ寒いからだよ!!」

アルミン
「そうなの?僕なんかずっと
 震えが止まんないだけど…
 ほら…」

アルミンの灯りを持つ手は
ブルブルと震えていた

エレン
「…」

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アルミン
「エレンって巨人が怖いと
 思った事ある?」

エレン
「は?」

アルミン
「僕なんかは初めて対峙した時
 まったく動けなくなった…
 
 …君と仲間が食われていた
 最中だった…

 でも…そんな僕を…君は
 巨人の口から出してくれたんだ

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 …何で君はあんな事が出来たの?

 君が僕の身代わりになるなんて…
 あってはならなかったんだよ…」

そのアルミンの言葉にエレンは思い返す

あの時、アルミンを助けに行く直前に
深傷を負って屋根の上に倒れていた自分

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エレン
「あの時…俺はお前が…
 俺に本を見せた時の事を
 思い出した…」

アルミン
「え?」

エレン
「あの時オレは初めて…

 オレはそれまで壁の外の事なんて
 考えた事もなかったんだ…

 毎日空か雲を見て
 過ごしてたっけ

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 そりゃ8歳か9歳もガキが
 何にも考えてないのは

 別におかしな事じゃ
 ないだろうけど…

 そうしているとお前が本を
 持って走って来たんだ」

河原でと空を眺めているエレン
そこへアルミンが走ってくる

エレン
「オレとお前は街の子供達に
 馴染めないはみ出しもん同士だった

 ただそれだけだったんだ、オレ達は

 あの時 お前の話を聞いて
 お前の目を見るまでは」

明るい目をしているアルミン

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アルミン
「目?」

エレン
「ああ…

 お前は楽しそうに夢見てるのに…
 オレには…何にも無かった

 そこで初めて知ったんだ
 オレは不自由なんだって

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 その時に俺はずっと
 鳥籠の中で暮らしてて…

 広い世界の小さな籠で
 訳分かんねぇ奴らから
 自由を奪われてると気づいた

 それがわかった時
 許せないと思った

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 なんでか知らねぇけど
 オレは自由を取り返すためなら
 …そう…力が湧いてくるんだ」

そう口にするエレンの手からは
既に震えが消えていた

エレンが安心したような表情をする
そしてアルミンにお礼を言う

エレン
「…ありがとうな…
 もう大丈夫だ

 多分来年の今頃オレ達は
 海を見ているよ」

アルミン
「…うん」

そんな2人を背後から見ているミカサ

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その時、ミカサが気づく

ミカサ
「…!この辺り…見覚えがある
 確か薪を拾いに来た事が…」

その時先頭の方からも
麓が見え街道の跡があるとの報告が…
顔を見合わせるエレン達

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エレン
「もう…すぐそこだ」

ミカサ
「川の音が聞こえる!!」

アルミン
「僕達…帰ってきたんだ…
 あの日…ここから逃げて以来…
 僕達の故郷に…」

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朝日が周囲に差し込める頃、
ついにウォール・マリアに到着

エルヴィン
「日が昇って来たぞ!!
 物陰に潜む巨人に警戒せよ!!

 これより作戦を開始する!!
 総員立体機動に移れ!!」

馬から立体機動へと
移っていく調査兵団達

フードを被ったまま
壁上へ飛び立って行く

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エルヴィン
(敵の目的はエレンを奪う事にある
 
 敵がエレンに壁を塞ぐ能力があると
 知っているかどうかは分からないが

 我々がここに向かっていると知った時点で
 壁を塞ぎに来たと判断するだろう

 そして破壊された外門を塞ぐと
 踏んでいるはずだ

 我々の目的が壁の修復以外に
 シガンシナ区内のどこかにある

 【地下室】の調査だという事は
 既に敵に伝えてある
 
 ならば先に塞ぐ外門に
 エレンは必ず現れる

 ただし、フードで顔を隠した
 総員100名の兵士が
 同時に外門を目指す

 誰がエレンか分かった時は
 既に外門を塞いだ後だ)

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壁上に足をおろすエレンが
シガンシナの街並を見おろす

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当時の破壊されたままの姿

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その時、背後から
リヴァイが声をかける

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リヴァイ
「止まるな!!
 外門を目指せ!!」

エレン
「ッ!!了解!!」

再び立体機動で進むエレン

その時、壁上を移動するアルミンが
焚き木の後を発見する

アルミン
「!?」

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アルミン
(これは…焚き火の跡!?)

後ろの方にいるエルヴィンに
片手をあげて手信号を送るアルミン

エルヴィン
「!?」

アルミン
(団長!!いる…近くに
 ベルトルトとライナーが…)

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壁沿いに立体機動で
移動し続けるエレン達

エレン
(オレの家はあの辺りだ
 あそこに全てを置いてきた)

背景にはグリシャ、エレン母、ミカサと
食卓を囲んでいる描写が浮かぶ

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背後を飛んでいるミカサを
エレンがチラリと見る

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エレンが握っているブレードに
力を込めグッと更に握る

エレン
(大丈夫だ、取り返してやる
 オレにはできる)

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外門の穴へと到達したハンジ
巨人がいない事に驚いている

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ハンジ
「何で…!?
 周りにまったく巨人がいない!?」

壁上のリヴァイの所へ
移動するハンジ達

リヴァイ達も壁上から
周囲の様子をうかがっていたが…
巨人の一匹も見当たらない様子

リヴァイ
「ここは敵の懐の中ってわけだ…だが」

ハンジ
「やるしかない
 作戦実行に支障は無し」

ハンジが周囲の者達と共に
信煙弾を打ちあげる

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その合図を見たエレンが動く

エレン
(オレにはできる…
 イヤ…オレ達ならできる

 なぜならオレ達は…

 生まれた時から皆、特別で…
 自由だからだ)

エレン、ミカサ、アルミン、
リヴァイエルヴィン、ハンジ、
ジャン、サーシャ、コニーの顔の描写

空高く外門の穴へと到達したエレン

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そしてその様子をどこからか
うかがっているベルトルトとライナー

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進撃の巨人 74話 ネタバレへ続く
【別冊少年マガジン 2015年10月号】

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