痛い話 ブログ

いろんな話題を勝手に収集しまくるブログ。おもしろい、たのしい、痛い、めずらしい、注目されている、されていないを関係なくまとめてます。

    BabySteps ベイビーステップ

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    #351 着地

     

    自身最初のサービスゲーム、0ー40

    いきなり種村にブレイクポイントを握られた栄一郎

     

    栄一郎「(いきなりブレイクのピンチ…ファーストサーブをショートバウンドでリターンエースなんて…

    ラケットで触れる球は全部エースを狙えるって事か?そんなわけないと思うけどそう思える位うまい…

    いや…待てよ…?うまいのは今の所こっちが狙っていったショットの対応だけ…

    でも…だからって俺が狙うのやめるってわけにもいかないよな…)」

    15秒経過のコールが入る

    栄一郎「(よし…とにかく相手は速攻狙い…まずはそれをさせない その為にファーストを確実に…)」

    栄一郎のサーブはワイドへ

     

    bs351-1

    種村はバックハンドでサイド深くに攻めて2連続リターンエース

    種村「(よし…ブレイクポイント3つあれば多少の無茶もできる)」

    宮川「あれ…いきなりブレイクされちゃった 大丈夫かな」

    荒谷「確かにクセモノだな でも今のブレイクは丸尾も悪いだろ 知らねえ相手でデータがないのもあるんだろうが

    相手を意識しすぎて思い切って自分のテニスができてねえ 何を焦ってんのか知らねえが…

    いつもより浮き足立ってるように見えるぜ こんなんでどうやってタクマに勝ったんだよ」

     

    bs351-2

    イラッとする荒谷

    栄一郎「(種村さんがどうして第7シードの津田沼さんを破って上がってきたのか分かってきた

    津田沼さんは強気のストロークで自分からガンガン狙っていくタイプ だからこの一撃必さつの対応力にやられたんだ

    俺は見た目で種村さんの脚力に難がありそうだからって単調にエースを狙いにいこうとしすぎていた

    それって…種村さんをナメてたんだ…)」

     

    bs351-3

    赤面する栄一郎「(タクマさんに勝って調子に乗ってる…こんなんじゃダメだ!!

    誰に勝とうが俺はまだプロでもない挑戦者!)」

     

    第3ゲームが始まる

    種村のサーブをリターンする栄一郎「(リターンはしっかりスピンで深く)」

    回り込んだ種村はフォアでクロスに返す

    栄一郎もクロスに返す

    次はバックハンドでストレートに打ってくる種村

    栄一郎「(早く決めに来るなら…オープンコート!ここで優位を奪う!)」

    オープンコートに打った球は惜しくもアウトで15ー0

    悔しがる栄一郎

    種村は無言で見ている

    宮川「惜しい…ちょっとよくなってきた?」

    荒谷「まだ硬いし攻め急いでる…何をビビってんだよ」

    栄一郎「(今のでよく分かった、相手もうまいけど俺もおかしい

    これはタクマさんに勝ってプロになると決めた最初の試合

    だから期待される価値のある選手じゃなきゃってプレッシャーが掛かってる…

    それでまずは慎重に相手を見ようと無策のまま攻めて…逆襲されて更に苦しくなって硬さが出てきた

    データが充分にある時は自分より相手を見るべきだけど、そうじゃない時はまず自分のテニスをしっかりしなきゃ…

    その中でデータを少しずつ積み重ねるんだ このプレッシャーはきっとプロになる以上避けられない)」

     

    続いての種村のサーブはセンターへ

    栄一郎は反応するも触れずサービスエース、30ー0

    栄一郎「(反応が遅い…まだ硬い…)」

     

    次の種村のサーブもセンターへ

    リターンする栄一郎だが種村は前に出てきている

    栄一郎「(サーブ&ボレー!?)」

    ボレーを決められ40ー0

    栄一郎「(ボレーもやわらかくてうまい! 前に来てるのに気付けないくらい視野が狭くなってる…まだ焦ってる証拠だ…

    自分を自分以上に見せようとするから自分を見失うんだ どうやっても俺以上のことはできないのに!)」

    大きく息をはく栄一郎

     

    続いての種村のサーブはワイドへ

    バックハンドでストレートにリターンする栄一郎「(いいリターン返った!?)」

    しかし次の種村の返球はドロップショット

    ゲーム種村、3ー0

     

    いきなりのブレイクに続きラブゲームでのキープに観客達も更にざわつく

    種村「(ここまでは思い通り…できる限りテンポよくいきたい)」

    栄一郎「(すごい…走りながら体勢崩して絶妙なドロップ…でも今のは俺なりにやれる事はやってた

    今、大事なのはまず自分のテニスをすること 相手も強いけどそれはその次

    俺がタクマさんに勝てた事をプラスにするんだ ビビるな…調子にも乗るな…自信にして戦え!)」

     

    タイムがかかり第4ゲームへ

    栄一郎「(いくぞ…ここまでの種村さんのデータから…最善と思える俺のチェンジオブペース

    サーブは一撃必さつを食らわない様にコントロール重視 ワイドギリギリを強気に狙う)」

     

    bs351-4

    狙った所にファーストが入る

    種村はクロスにリターン

     

    bs351-5

    栄一郎「(この優位を保って次は…相手が一撃必さつをしにくい中央へ深く…普段より2〜3割低速で強いスピン…)」

    種村「(そうきたか…)」

    種村はサイド深くにフォア強打

    なんとか返す栄一郎「(ここまでケアしてもこの決定力か…だったら…)」

    下がる栄一郎

    種村「(次は下がって守備か…)」

    種村の返球は浅め

    栄一郎「(ダウンザライン浅め!いける…いや不用意にいくと一撃で逆転される…一度アングルにフォアのスライスでタイミングを外す)」

    栄一郎の狙い通りになり、種村の返球は少し甘いものとなる

    栄一郎「(よし!!一撃必さつには一撃必さつ!確実に仕留めなきゃこっちがやられる…種村さんが諦めるくらい思い切って…)」

    オープンコートのサイド深くギリギリへ打つ栄一郎

     

    次回、BabySteps ベイビーステップ 352 へ!!

    #352 野望

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    #350 特化

     

    タクマとの激戦を制した栄一郎、次の対戦相手・種村との試合が始まる

     

    種村のサービスゲームから試合は始まる

    栄一郎の良いリターンをいとも容易い様子で返す種村

    なんとか返す栄一郎「(フットワークはともかくボディバランスと技術がすごい!有利に立てる所に打ったと思ったら一発で逆転された!)」

    サイドに打つ種村

    栄一郎「(…でも決め球は甘いか…!)」

    しかしギリギリ追いつけない栄一郎「(クソ…あと一歩か…それにしても…その前のフォアはとんでもないショットだった…

    普通あそこまで走らされたら打点、フォーム、体勢、何かが崩れるのに

    あんな大股の一歩で確実に最高の打点を捉えて当たり前のように強打をコントロールしてきた…)」

    30ー15

     

    種村「(2バウンドするまで絶対に諦めないタイプか…こういう相手は気を抜けない…)」

    次の種村のファーストサーブはフォールト(センターへ)

    栄一郎「(ファーストサーブも速くなった…でもセカンドサーブは攻める…ここまでデータは少ないけどここは少し山を張って…)」

    ワイドへの読みが当たった栄一郎

    サイド深くへのリターンは惜しくもアウト

    40ー15

    栄一郎「(クソ…ってその前にまた一歩も球を追ってなかった)」

    種村「(今のは入っても入らなくても追いつけない…)」

    栄一郎「(ここまで諦めが早いならもう少し決め球のリスクを下げて…もう1回コントロールで狙っていく!)」

    センターへのサーブをバックハンドでサイドへリターンする栄一郎

    追う種村

    栄一郎「(今度は追ってきた)」

     

    bs350-2

    体勢が崩れながらも強打で返す種村

    栄一郎「(また…今度は体勢が崩れても強打してきた!何とか返すのが精一杯!でもまた決め球は甘い…)」

    しかしまたも一歩届かない栄一郎

    サーブキープした種村

    栄一郎「(いや…違う…種村さんの決め球はネットもアウトもせず俺にも取られない1番安全な球なんだ

    つまり決めるのは1番効率的な球…もしかしたら追う球と追わない球の判断も…効率を考えて判断してるのかもしれない)」

    影山「うーんまずはあっさりキープされたか…」

    諭吉のところに宮川と荒谷も合流する

    諭吉「おお宮川、荒谷くん アニキの応援に来てくれたんですか」

    宮川「相手はなんか不思議なテニスをする人だね 状況判断がすごく早くて正確…

    頭とテクニックを最大限うまく使っておそらく穴のフットワークを完全にカバーしてるみたいだね 超効率的テニスって感じかな」

    諭吉「はぁ 確かに」

     

    bs350-3

     

    次は栄一郎のサーブゲーム

    タイムがかかり頭の中でデータを整理する栄一郎「(種村さんのテニスの特徴は…

    ①一発勝負できるくらい球威のあるサーブ

    ②体勢が崩れても一撃で形勢逆転できるボディバランスとショットの技術

    ③瞬時に一撃で決まるコースとショットを見出せる状況判断力

    全体的に諦める判断も早いし短いラリーで効率的に試合を進めようとしてる印象がある

    これって…単に長いラリーや長期戦を避けようとしてるだけとも言えるよな…

    やっぱりあの体型に弱点があるから技術と戦術でカバーしてるのか…?それにしても堂々と弱点を出しすぎじゃ…

    痩せたらもっと強く…て それは今俺が考えることじゃない…とにかく今まで対戦した事ないタイプ

    データを集めながらしっかりキープしていかなきゃ…そしてどこかでブレイク…!)」

    栄一郎のサーブはワイドへ

    強気のリターンの種村

    サイドへ返す栄一郎「(いきなり強気のリターン!やっぱりここも短いポイント狙いでくるのか?)」

    追う種村「(反応とコントロールはかなりのもの…)」

     

    bs350-4

    種村の返球は…ドロップショット…

    栄一郎「(あの体勢からドロップ…!?)」

    0ー15

    ホッとする種村

    栄一郎「(本当にすごい…どんな体勢からどんなショットも打てるのか?これじゃ見た目でショットが予想できない…

    …いや長期戦を避けてるならそこに持ち込むって策もあるか… でもできればサーブでポイントしたい!)」

    栄一郎のサーブはまたもワイドへ

    リターンする種村

    栄一郎「(それができなかったら長期戦覚悟!種村さんが攻撃に転じられないくらいの球で優位を保つ)」

    激しいラリーは続くが…

     

    bs350-5

    0ー30

    種村「よしっ」

    栄一郎「(ダメだ…この人は決定力もある ラリーが長くなる前にとにかく無理にでも決めにきてそれが入ってくる

    そこまでするって事はやっぱり持久力に難があるんだろうけど さっきから弱点を突こうとすると逆に痛い目にあう

    あまり弱点を意識しない方がいいのかも…)」

    大きく息を吐く栄一郎

    宮川「戸惑ってるみたいだね丸尾くん」

    種村「(すごく色々考えてくるな…ある意味俺と似てるのかも…

    昨日の第9シードの津田沼さんは基本に忠実なパワータイプだったからやりやすかったけど…今日はノーシードなのに面倒な相手かもしれない)」

    ワイドにサーブを打つ栄一郎「(どのタイミングでどんなショットがきてもおかしくないと頭に入れて…)」

    その瞬間、前に出てくる種村

    栄一郎「(そんな前でリターン!?)」

     

    bs350-1

    鋭角のリターンエースを決める種村

    栄一郎「なっ…」

    0ー40

    宮川「うわー…ライジングどころか球が上がりきる前に身体で合わせて速攻リターン…

    こんな身体の使い方というか、ショットがうまい人初めて見たかも…」

    ふーっと一息つく種村

     

    次回、BabySteps ベイビーステップ 351 へ!!

    #351 着地

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    #349 各々の戦い

     

    試合会場に行く荒谷、後ろから宮川が声をかけてくる

    荒谷「おう宮川か お前今日は学校じゃねぇのか?」

    宮川「休んじゃった だって丸尾君が江川君に勝ったなんて聞いたら観に行かなきゃって思うでしょ!あの丸尾君がだよ?荒谷君は昨日その試合観れたの?」

    観てないと言う荒谷「負けてさっさと帰っちまったのを後悔したぜ 俺が勝った事ないタクマに丸尾がどう勝ったんだか」

    宮川「荒谷君は丸尾君に負けた事ないのにね それで荒谷君は…いつ頃プロに転向するの?」

    荒谷「ああ…順調なら高校を卒業してすぐかな 早くても4月以降だろうな」

    宮川「あと5ヶ月か いよいよだね」

    荒谷「まだ先だよ それまでに海外遠征で実績あげなきゃなんねえしやること山積みだよ」

     

    試合前の打ち合いをする栄一郎と種村

    種村は第9シードの津田沼を破り勝ち上がってきた

    19歳でプロ転向してすぐ渡米し、21歳で帰ってくるまで目ぼしい戦績はない

    しかし帰ってくるなりフューチャーズで優勝してチャレンジャーでも活躍…日本ランキングを22位まで上げてきた

    丸尾「(帰ってきたら途端に開花したってことかな…プレースタイルはまだ分からない…

    あの柔らかい身体を活かしたシャープなスイング…しかもあの重そうな体重が乗ってくるから球も重い…

    それにしてもこの体型…スピード重視の現代テニスには逆行してるとしか思えない でもフットワークに難があってここまで勝てるわけがない

    できるだけ先入観を持たないで見て判断しよう それで戦いながらデータを集める…一歩ずつ着実に勝利を目指すんだ)」

     

    門馬と神田も試合に向かう

    門馬「ガキの頃から何度か会ってるよな…」

    神田「あ、はい 覚えてて頂けてたなら光栄です」

    門馬「丸尾…くんとは仲いいのか?」

    少しムッとした表情になる神田「…知り合いです やっぱりトップの人でも気になるのは彼ですか?」

    門馬「すまん…下らん事を聞いてしまった 言っておくが君の事はずっと前から注目してたからな」

    神田「!」

     

    難波江と有野も試合前の打ち合いをしている

    有野忠雄・25歳、日本7位の第6シード

    フォアハンドに絶対的自信を持つオールラウンダー

    難波江「(想定評価は日本国内最高レベルをAとした時、つまり池爽児の攻撃力をAとすればA

    門馬歩夢の守備力をAとすればB 極端にフォアハンドに依存するスタイル

    テニスは各ショットの能力値に差があるより平均的である方が強いという僕のオールA理論を実証するにはうってつけの相手)」

    難波江と有野の試合が難波江サーブで始まる

    難波江はセンターにサーブを打つ

    有野のバックハンドのリターンはネットで15ー0

    難波江「(当然サーブは基本バック側狙い…)」

    続いても有野のバック側にサーブを打つが…

     

    bs349-5

    有野は回り込みフォアでリターンエースをとる

    難波江「(回り込むのが速い…)」

    有野「(そんで…どう来んだよ)」

     

    場面は試合中の門馬と神田へ

    観客「すっげえラリーの応酬…」

    神田「(懐が深いって言うか…どんだけ振り回しても軸がブレねえ 長期化は覚悟…膠着の中で見極めて…先手を打つ!)」

     

    bs349-2

    ストレートへ深い良い球を打ったが門馬は追いつき打ち返す

    舌打ちする神田

    門馬「(し闘を覚悟しながら先制攻撃 この若さでこのテニス…大したもんだ さすが伝統校・鹿梅工業の血脈…

    団体戦でより力を発揮するスタイル デビスカップで活きる…となれば…日本の為に全身全霊で叩き潰す!)」

     

    栄一郎の試合が始まる前に荒谷・宮川が無事到着する

    栄一郎「最初からブレイク…1本目!」

    トスをあげる種村はすごい身体の反り

     

    bs349-3

    腕もしなりセンターへの速いサーブ

    栄一郎は触るもアウト

    栄一郎「(球も速い…身体のあらゆる部分がしなるから力が増幅するんだ そのせいか見かけよりインパクトは遅く、球は速く伸びる

    …このタイミングを頭に入れて…)」

    次のサーブはワイドへ

    リターンする栄一郎

    種村「(あれ…?もう普通に返された)」

    栄一郎「(いいリターン返った… 最初のリターンゲームは強気で攻めつつ相手を見る まずはオープンコートにフラット強打!)」

     

    bs349-4

    良い球にすぐ追うのをやめた種村

    栄一郎「(!? 追わなかった…諦めるには判断が早くないか?知りたかったあの体型でのフットワークが分からなかった)」

    サーブする種村「(こんな早く合わせてくるなんて さすが江川逞のサーブに勝ったリターンだな)」

    次のリターンも角に良い球を打つ栄一郎

    種村「(しかもこのストロークのコントロールか…)」

    打ち返す種村「ほっ」

    栄一郎「(普通なら体勢を崩す遠い打点の球も難なく強打…!)」

    種村「(テニス歴3年て本当なのか?)」

     

    次回、BabySteps ベイビーステップ 350 へ!!

    #350 特化

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    #348 歩み

     

    タクマとの激戦を終えた栄一郎

    プロになる為に自分にはまだやれることがあるんじゃ…そう思った栄一郎は履歴書を作り始める

     

    父「プロのなる為の履歴書…?」

    栄一郎「うん、普通の会社も入社するには履歴書が必要でしょ?全日本選手権はテニス関係者が沢山来てるからさ

    もし俺に興味を持ってくれる人がいたら配れると思って… 逆に俺が興味を持った人がいたらすぐ渡せるせしょ

    プロになるにはどうしても支援してくれる人が必要だからさ そういう人と会えた時に俺の事が一目で分かるこういうのがあるといいと思ったんだ

    今日勝って思ったんだ…待ってないで自分から勇気を出して動かなきゃって…」

    父「そうだな…栄一郎はプロテニス選手に就職するんだもんな」

    一瞬の間の後、力強く返事をする栄一郎「うん!」

    作り方を相談して父と2人で固めていく

    母はその様子を微笑ましく見ている

     

    翌日、全日本選手権3日目

    栄一郎はテニスウェアメーカー社員の須藤に声をかける

    須藤「昨日はスゴかったね!!江川君のサーブをまるで予知でもしてるみたいにバンバン返してさ!

    大逆転した時は思わず大声出しちゃましたよーっ!」

    早速履歴書を渡す栄一郎「それであの…実はこういうものを作ってみたんですけど…」

    須藤「なになに?ほうほう…なるほど…これはイイですね 実は昨日、何人かの人に聞かれたんですよ

    丸尾君ってどんな人って その時これがあれば早かったかもですね」

    栄一郎「え!?本当ですか?それ…誰ですか?」

    須藤「確か…サプリメント会社の人と…あとガットメーカーの人でしたね これ何部か置いていってくださいよ渡しておきますから」

    栄一郎「本当ですか!?よろしくお願いします!じゃあこれだけ…」

    須藤「じゃあ今日も試合がんばってね!!」

    栄一郎「はい!じゃあまた来ます!がんばります!」

    喜びながら去っていく栄一郎「(すごい…本当にいた!俺に興味持ってくれる人はいる!プリンスの小ノ澤さんにも渡しておこう!)」

     

    プレイヤーズラウンジに入った栄一郎、目の前にいた神田と挨拶する

    栄一郎「昨日はすごい試合だったみたいだね!」

    神田「はぁ…まぁ…勝ちはしましたけど6ー4、4ー6、7ー5のフルセットはさすがに消耗しましたよ」

    イラッとした表情で言う神田「つーか丸尾君の方がすごい試合っしょ あの江川君に大接戦の逆転勝ちなんてさ…

    はぁーいいっすね…確実に今1番注目されてるの丸尾君ですよ」

    栄一郎「え…」

    周りの選手達も栄一郎をチラチラ見てざわついている「江川を倒したのってあいつ?」「ジュニアの頃は見た事なかったけどな…」

    そこに難波江がやってくる「おはよう2人とも 丸尾君、昨日はすごかったね 今の江川君に勝つのは本当にすごいよ 今日の相手は種村さんだっけ?」

    栄一郎「あ、うん そうなんだけど…」

    次の相手はJTAランキング22位で21歳の種村峰周

    第9シードの津田沼を破って上がってきた人物

    栄一郎「調べてもあんまりデータがなくて…難波江くん知ってる人?」

    難波江「種村さんをよく知ってる人はそういないよ 拠点がアメリカで日本の試合にはあまり出てないらしいからね しかも最近急に活躍し始めたみたいだし…」

    栄一郎「へー…そうなんだ…ありがとう」

    神田「データなくても22位ならいいじゃないですか 俺なんて2位の門馬さんですよ でもまあ1番やってみたい人だったから嬉しいスけどね」

    栄一郎「(門馬さんと神田くん…2人とも根性と気合で戦うタイプ 激しい試合になりそうだ…)」

    神田「難波江くんの相手は有野さんでしょ?」

    難波江「うん 僕もぜひ戦ってみたかった相手だよ 3回戦勝ち上がればベスト8…がんばろう」

    気合いを入れる3人

     

    bs348-1

    少し離れた受付の前にいるのは第3シードの渡邊、第5シードの羽毛田、第6シードの有野

    有野「がんばろうだってさ…」

    渡邊「それが?」

    有野「頑張んの当たり前っしょ 普通それ言う?」

    羽毛田「まだ高校生だしプロでもないしいいじゃん別に」

    有野「でもベスト16に3人高校生って異常事態だろ」

    羽毛田「池の世代は黄金世代って言われてたがいよいよ現実味が出てきたな」

    有野「俺次その筆頭の難波江だから一足先に体感できるわ あと神田は聞いたことあるけど丸尾って誰よ?」

    羽毛田「超新星だって…江川に勝ったってどんな奴かと思ったらかわいいよね」

    有野「江川のサーブをあそこまで返せる奴はかわいくねえよ」

    渡邊「のんきだなァ… 強い奴が出てくる事はテニス界にとってはいい事だけど 俺達は危機感を持たなきゃいけないんじゃない?

    門馬さんと池はともかく 数年…いやそれこそすぐ 日本代表のAチーム7枠の内、半分以上が池世代なんてことになるぞ

    今回の高校生3人がベスト8以上を決めれば補欠のBチーム入りだって考えられる 日本代表を誇りに思ってるなら絶対譲れない立場だと思うけどね…」

    有野「んなコトわかってるよ」

    羽毛田「言われなくてもね」

     

    トイレから出てくる栄一郎

    するとロッカールームではストレッチをしている人

    「お前さぁデブのくせに柔らかいなー」「デブって言うなよ〜」

     

    bs348-2

    それを見た栄一郎「(ほ…本当に柔らかい!)」

    向こうの食事の量がハンパじゃないからと言うデブの人「ある程度体重あった方がパワーは出るんだよね」

    栄一郎「(すごいな でも…この体格で選手なのか…残ってるって事は強いんだよな…おっと…俺も準備しなきゃ!)」

     

    そして10時になりコートに入る栄一郎

    母、影山、諭吉が応援に駆けつけてくれている

    その他にも栄一郎目当ての観客達がいる

    栄一郎「(わざわざ観に来てくれる人が増えてる気がする そうだ…俺にとって最大のアピール場所はコート!)」

    コート中央に行き、対戦相手と握手する栄一郎「よろしくお願いします」

    種村「よろしくお願いします」

     

    bs348-3

    ハッとする栄一郎「(あれ…?この声この体格…さっきロッカールームにいた人だ!)」

    肩を回す種村「よ〜し」

    栄一郎「(重そうな動きだけど身体は柔軟…今まで見た事がないタイプだ…)」

     

    次回、BabySteps ベイビーステップ 349 へ!!

    #349 各々の戦い

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    #347 共感

     

    激闘の末、タクマを破った栄一郎

    諭吉「アニキが…ついに…タクマさんに勝ったーっ!!」

    優勝候補の一角であるタクマに予選上がりの高校生が逆転勝ちをした事に盛り上がる観客達

    「すげぇ…すげぇ試合を見た!!」「絶対この試合が今大会のベストマッチだーっ!」「江川もよかったぞ!」

    笑う青井コーチ「おおおーっ、あの野郎マジでやりやがった!」

    岡田「信じらんねぇ…」

    栄一郎の母も信じられないといった表情

    諭吉は興奮して叫びまくっている

    影山「い…いや〜…すげえよエーちゃん…いつかすげぇことやる奴だと思ってたけどさ…」

    涙を流し感動している佐々木「か…かっこいい!」

    ハッとする影山

    ナツ「エーちゃん!」

     

    栄一郎本人も驚いて信じられない様子「か…勝った…」

    試合後の握手の為にネット前に来ているタクマに気付く栄一郎、すぐさま走っていこうとするがこけてしまう

    その様子にどっと笑いが起き湧く観客達

    栄一郎「(集中力が…切れた…脚がもうこんなに…限界ギリギリだったんだ)」

    握手の手をだすタクマ「(こいつに負けたのかよ)」

    握手の手をとる栄一郎「す…すいません…あの…本当に…本当にいろいろありがとうございます!!」

     

    bs347-1

    頭を深々と下げる栄一郎

    ひとつ息を吐き、掴んだ手を弾くタクマ「次はぶっ潰す…」

    頭を上げる栄一郎「次…」

    タクマ「プロになんだろ?」

    観客の方を見てみろといった感じで顎を動かすタクマ

    観客達からは拍手と共に賞賛の言葉が鳴り止まない

    「丸尾ーっ!!ナイスファイトー!!面白かった!!」「このまま優勝しちゃえ!!」「丸尾くんこっち向いてーっ!!」

    「よくそのガタイで江川を倒した!」「次も応援するぞーっ!!」「これからも追っかけるからなーっ!」「プレーも魅力的で最高だったぞー!」

     

    bs347-2

    力強く答える栄一郎「…はいっ!!」

    タクマ「来るなら早い方がいいぜ 勝ち逃げされたくねえから言ってんじゃねぇぞ」

    栄一郎「はいっ…」

    宮本記者「(こりゃもしかすると日本のテニス界もちょっと動くくらいの事件かもしれないぞ)」

    大きく息をつく三浦コーチ「いやー…しかし凄まじい丸尾くんの執念だったな」

    池「あいつは長年かけてタクマさんを研究してましたからね…とはいえあのサーブをあそこまで読み切ったのは見事ですよ」

    三浦「(世界ランキング急上昇中のタクマはこれから世界でも徹底マークされる この負けは間違いなく大きな糧になる…反省会が必要だな)」

    もう一仕事あると言い去っていく池

    三浦「おう、またな」

    コートを出る栄一郎をみんなが迎える

    影山「おいおい!心臓飛び出るかと思ったぞ!」

    佐々木「おめでとう丸尾くん!!」

    諭吉「アーニキ〜っ」

    栄一郎「みんな…」

    涙を流しながら語る諭吉「俺は…2年前…初心者のアニキとおっかないタクマさんの喧嘩も見てるし…

    やっぱりタクマさんは鬼みたいに強いから途中で無理なんじゃないかと思って…それでもアニキは諦めずに…戦って…しかも勝つなんて…」

    栄一郎「ゆ…諭吉くん お…応援ありがとう!」

     

    bs347-3

    ナツ「エヘヘ 私が言ったとおりになったでしょー」

    栄一郎「なっちゃん…」

    ナツ「そうそう、私もなんとか勝ったよ!!」

    栄一郎「おー!やったっ!!おめでとう!!」

    母の姿に気付いた栄一郎「母さん…」

    母「信じられないわ…あんたがこんな…本当に…」

    栄一郎「…うん」

    母「相手の人が日本9位…てことはアンタ8位なの?だったらプロでやっていけるのかしら…」

    栄一郎「そんな簡単に8位にはなれないよ 年間を通してこういう試合に勝ち続けなきゃそんな位置にはいけないんだよ

    今日の試合は俺の中でも最高の出来だったし…」

    青井「まーまー その最高の出来もお前が自分で導きだした お前はあの江川逞に自分の力だけで勝ったんだ」

    栄一郎「青井さん… あっそうだ!青井さんに今すぐ相談したい事があったんです…」

    青井「おう、なんだよ」

    栄一郎「俺がプロになる為には…まだやれる事があるんじゃないかと思って…」

     

    選手ラウンジに戻ったタクマ

    そこに係の人がやってくる「江川くん…残念だったとこ悪いんだけどさ 試合前に頼んでおいたこと…いいかな?」

    タクマ「ああ…はい、でも…負けた俺がそんなことしていいんスかね」

    仕事だからと頼まれるタクマ

     

    これから行われるのは池とタクマのサイン会

    会場に登場する2人

    池には黄色い声援がとぶ

    タクマ「(よりによってこいつとかよ…)」

    池「タクマさん…顔コワイよ」

    これも仕事…と自分に言い聞かせるタクマ

    サイン会が始まる

    タクマのもとに来る青年「か…感動しましたっ!俺も生涯サーブ&ボレーで行くつもりです!」

    タクマ「あ…ああそう…ありがとう…がんばって…な…」

    青年「ありがとうございます!」

    次は男の子がやってくる「え…江川選手…カッコよかったよ 僕も江川選手になりたいです!」

    次も男性「241キロサーブすごかったです!同じ日本人として夢みたいです!」

    タクマ「ああ…はい…ありがとうございます…」

    通りかかる人達もタクマの姿に反応する「さっき試合してた江川選手だ」「試合の時より優しそうだ」

    タクマの前には男性「ガツンときました!」

    池の前には女性「会えて嬉しいです」

    池「タクマさんすごい人気だね…特に男の人に」

    タクマ「知らねえよそんなの…」

    池「でもそれ俺もわかるな…」

    タクマ「は?」

     

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    池「タクマさんのテニスは本当にカッコいいよ…同じテニス選手の俺から見てもね」

    タクマ「…お前に言われてもピンとこねぇ…」

    池「あ…そう…」

     

    場面は栄一郎の家へ

    父が帰ってくる「おーっ!!お前すごいじゃないか!それで何見てるんだ?」

    栄一郎はパソコンの前にいる「あ…これは見てるんじゃなくて作ってるんだ」

    父「作る…?何を?」

    栄一郎「えーと…俺がプロになる為の履歴書…かな」

     

    次回、BabySteps ベイビーステップ 348 へ!!

    #348 歩み



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